野崎 歓さんの『五感で味わうフランス文学』

本の表紙。猫のそばで子どもが本を開いて本を読んでいいるイラスト。


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いつもそばに置いておいて、フランス文学の世界を感じていたくなってしまう本。難解なフランス文学を野崎さんの主観を交えながら説明し読み解いています。「翻訳の快楽」の章では、グルーモンさんの「ブロンドの林」の堀口大學さんの昔の訳と新しい訳が両方引用されていて訳詞の移り変わりを比較しています。
堀口大學さんの『月下の一群』のときの訳は、「われは恋の女の、恋に満ちたる肉体なり」という訳でしたが、50年後の堀口大學さんの訳は、「わたしは恋の女の 恋でいっぱいな肉体ですの」になっています。わたしは昔の訳の方が好きなのですが、この新しい訳に対して野崎歓さんはこう書いています。少し長いが引用します。

「フランス語原文よりもはるかに情が深い」と言っていますが、「それは決してオリジナルに対する裏切りではない。大學の翻訳エッセイを見ると、よく口をついて出るのは『参加』の一語だ。『好きな詩が見つかると、これに参加し、これをわがものにしたい一念』に動かされるのだという。翻訳とは決して無機的な置き換え作業ではなく、積極的な『参加』の試みなのだ。そんな大學の信念によって、原作と僕らのあいだの距離は一気にせばめられた」

野崎さんのワクワクするような解釈にフランス文学にのめりこむこと間違いなしです。

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