宮澤賢治の『雪わたり』~BOOK・TALK 便り Vol.3 (2026/10/26)

『雪わたり』の絵本の表紙です。雪の上できつねが満月を見上げている絵が描かれています。

松陰神社前の実店舗で「BOOK・TALK」を毎月開催しています。
「BOOK・TALK」を紹介する「BOOK・TALK便り」という紙のちらしに、自分の好きな本を紹介しています。
2026年10月26日の「BOOK・TALK便り Vol.3」に、宮澤賢治さんの『雪わたり』について書いていて、
その内容をこちらのブログで紹介します。

宮澤賢治の『雪わたり』(方緒良/絵、mikiHOUSE)

凍てついた雪の朝、四郎とかん子という兄妹が、きつねの紺三郎と出会い、森の幻燈会に招待される心温まる物語です。
東北の凍てつく冬の空気感、子どもたちと子狐の心の弾みをオノマトペ(擬音語・擬態語)と心地よいリズムで描いています。
ぜひ声に出して読んでみてください。

  雪渡り その一(小狐の紺三郎)

 雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板で出来ているらしいのです。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。」
 お日様がまっ白に燃えて百合の匂を撒きちらし又雪をぎらぎら照らしました。
 木なんかみんなザラメを掛けたように霜でぴかぴかしています。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
 四郎とかん子とは小さな雪沓をはいてキックキックキック、野原に出ました。
 こんな面白い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍の畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこ迄でも行けるのです。平らなことはまるで一枚の板です。そしてそれが沢山の小さな小さな鏡のようにキラキラキラキラ光るのです。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
 二人は森の近くまで来ました。大きな柏の木は枝も埋まるくらい立派な透きとおった氷柱を下げて重そうに身体を曲げて居りました。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。狐の子ぁ、嫁ほしい、ほしい。」と二人は森へ向いて高く叫びました。
 しばらくしいんとしましたので二人はも一度叫ぼうとして息をのみこんだとき森の中から
「凍み雪しんしん、堅雪かんかん。」と云いながら、キシリキシリ雪をふんで白い狐の子が出て来ました。

「BOOK・TALK」の案内とお申込みはこちらです。
https://soleil-lune-tokyo.com/booktalk2026/

よろしければシェアをお願いいたします

コメント

コメントする

目次