無着成恭さんの『無着成恭の詩の授業』。
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この本は読んで知人にあげたのですが、再び買ってまた知人にあげました。その本が返ってきて再読した本で、思い入れがある本の1冊です。
1つの詩を選びじっくりと授業を行う無着先生。無着先生の問いかけに対して子どもたち自身みずから考えて自分の解釈を話し感想を書いていくという授業の様子が書かれています。
それも子どもたちの現実とは関係のない詩を読ませて理解させているだけではなくて、いま子どもたちが実際に直面している現実の問題を踏まえて関係する詩を無着先生が選びだしています。
詩にこめられた作者の意図を理解することとともに、「詩の言葉が意味するもの」と「子どもたちの現実」のつながりを子どもたち自らが気づき、詩が自分たちの悩みを払拭し現実の問題を解決しえるかもしれないということを、子どもたち自身が実感として感じているところがすごいのです。
そんな無着先生と子どもたちのやりとりを読んでいると、私自身が無着先生と子どもたちの授業に参加しているような気になります。
これまで詩のわからないところはそのまま読み飛ばしてし読んでいた自分に気づかされ、詩や詩だけではなく、すべてを丁寧に読んでいくことの大切さを感じました。
いまでこそアクティブラーニングといわれる方法を教育に取り入れているところも多くなってきていますが、この本が書かれたのが1982年のことです。この本で無着先生の授業を一緒に受けてみるのもいいかもしれません。
昔読んだとき、この本の中で取り上げられている詩の中では、草野心平さんの「春の歌」がいいなって思っていましたが、いま読み返してみると、真壁仁さんの「峠」がとてもいいです。
峠までの風景と、峠を越えた風景、前の風景と決別して新しい風景に踏みだしていくという詩です。これまでの安心したものから新しいものへ不安を抱えながらも前に進んでいこうということを感じさせる詩で、新たな一歩を踏みだそうとしている人は勇気づけられるかもしれません。この詩はネットで検索して読めるのでぜひ読んでみてください。
『無着成恭の詩の授業』については、X(Twitter)にもツイートしています。
『無着成恭の詩の授業』の X(Twitter)のツイート
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