くすのきしげのりさんと石井聖岳さんの『おこだでませんように』
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この絵本を初めて読んだときは「おこだでませんように」の意味がわからず、そのまま読んだきりになっていました。
その後、何年も年月(10年以上かもしれません)を経て再び読んでみて、いい絵本だなと思いました。
妹と遊んでいるとき、学校にいるとき、いつもおこられるぼく。
いつもおこられてばかりだけど、おこられたくないのです。
おこられているときに何かを言ってしまうとさらにおこられるから、「だから、ぼくはだまってよこをむく。よこをむいて、なにもいわずにおこられる。」のです。
「ほんまはぼく、『ええこやねえ』っていわれたいんや」というぼく。
そんなぼくは、七夕の短冊に願いをこめて「おこだでませんように」と書きます。
願いはかなうのでしょうか。思いはわかってくれるのでしょうか。
その短冊を見た先生も泣きながらほめてくれて、おかあさんもわかってくれます。
子どもの気持ちと大人の解釈。いつの時代もむずかしいなと思います。
裏表紙の前の見返しに、くすのきしげのりさんの「あとがき」が載っています。
その文章に気持ちが熱くなります。
引用します。
あとがき
「おこだでませんように」
そう書かれた小さな短冊を見たとき、
私は涙が出そうになりました。 短冊を
書いた男の子は、いつも怒られている
のでしょう。 この子が、 楽しいと思って
したことや、いいと思ってしたことも、
やりすぎてしまったり、 その場にそぐわ
なかったり、 あるいは大人の都合に合
わないからと、 結果として怒られること
になってしまうのかもしれません。
でも、この子は、 だれよりもよくわか
っているのです。 自分は怒られてばかり
いるということを。 そして、思っているの
です。 自分が怒られるようなことをしな
ければ、そこには、きっとお母さんの笑
顔があり、ほめてくれる先生や、 仲間に
入れてくれる友だちがいるのだと。
そんな思いをもちながら、 それをお
母さんや先生や友だちに言うのではな
く、 七夕さまの短冊に、 一文字一文字け
んめいに書いた 「おこだでませんよう
に」。 この子にとって、 それは、まさに天
に向けての祈りの言葉なのです。
子どもたちひとりひとりに、その時々
でゆれうごく心があります。 そして、 ど
の子の心の中にも、このお話の「ぼく」
のような思いがあるのです。 どうか、 私
たち大人こそが、 とらわれのない素直
なまなざしをもち、 子どもたちの心の
中にある祈りのような思いに気づくこと
ができますように。
くすのきしげのり
[『おこだでませんように』のあとがきから引用]
『おこだでませんように』については、X(Twitter)にもツイートしています。
『おこだでませんように』の X(Twitter)のツイート
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