吉野弘さんの「生命は」の詩


(「Buy」ボタンを押すとONLINE STOREの買い物カゴに飛びます(まだ購入はされません)
Soleil et Lune ONLINE STORE を押すとONLINE STOREのトップページに飛びます。)



持っている本を積みながらオンラインストアに登録するための作業をしていると、ときどき手がとまってしまう本があり作業をとめて読んでしまっていています。そして関連する他の本も持ちだしてきて、その路線に気持ちはつき進みます。オンラインストアへの登録作業は進まないけど、充実した時間だなと感じます。

今日そんな本の中の1つの本に再開。吉野弘さんの『贈るうた』の本で、その中に収められている「生命は」の詩が素敵です。


生命は 吉野弘

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
蛇の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための蛇だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

「生命は / その中に欠如を抱き / それを他者から満たしてもらうのだ」
その一方、無関心でいられる間柄 / ときに / うとましく思うことさえも許されている間柄」という。。
生命という普遍的なレベルにおける「欠如の補完」が人間も同じである説いていながら、人間の関係のありかたの矛盾を語っています。

「世界がゆるやかに構成されているのは / なぜ?」
この答えは記されていませんが、矛盾をかかえる人間の不可思議さや哀愁を感じ、そんな人と人との関係を大切にしたいなって思います。

折に触れて思いだしたい詩です。

吉野弘さんの「生命は」のことは、X(Twitter)でも紹介しています。
吉野弘さんの「生命は」のツイート
またオンラインストアに商品(古本)も登録してますので興味ある方はご覧ください。
吉野弘さんの『贈るうた』


よろしければシェアをお願いいたします

コメント

コメントする

目次